よくあるご質問

Q1、算数の成績は才能で決まりますか?
A1:算数は、計算の速さと正確さ、公式を覚える記憶力、さらに論理的思考力と発想力を試験するものです。発想力以外は訓練に比例して上がります。

論理的思考力に才能というものが無関係なわけではありません。しかし、中学受験をする人で、まったく論理力がないという人はいません。肝心なのは、論理的思考力をつける努力をするかどうかの問題です。

正しく訓練すれば、算数の偏差値は60前後までは上がります。
算数が伸び悩む理由は大まかに三つあります。

第一に、難しすぎる問題に手を出し空回りしている。
第二に、反復練習をしていない。
第三に、間違った原因を明確にしていない。(その結果、同じ間違いを繰り返す)

この三つを克服すれば、算数の成績は必ず伸びます。
才能のある子は、この三つが自力でできているのです。
つまり、

(1) 自分のレベルに合った問題を解く。
(2) 1つの単元を集中的に反復する。
(3) 間違った原因を明確にする。

この勉強法で伸びない子はいません。愚直に反復してみてください。
結果は、必ずついてきます。勉強に才能は、ほとんど(まったくとは言いませんが)、関係ありません。

Q2、問題をたくさん解けば算数の力はつくのですか?
A2:むやみやたらに問題を解いていても算数の力はつきません。
問題が簡単すぎれば、それは時間の無駄です。
また、あまりにも難しすぎれば、もっと時間の無駄です。
お子さんの「実力に合った」適度な難しさの問題を課す必要があります。
そして、その解き方を他人に説明できるくらい徹底的にやりこまなければなりません。
そのような方法で反復練習していれば必ず力はつきます。

算数の力とは、計算の速さと正確さ、公式を覚える記憶力、さらに論理的思考力と発想力のことです。
計算は反復と工夫で速さを増し、余った時間でチェックすれば正確さも増します。
公式は覚えるしかありませんが、これも反復と工夫で、必ず覚えられます。

論理的思考とは、判断と推理のことです。
判断と推理を積み重ねて、「つじつまの合う理解や説明ができる」ということが、論理の本質です。したがって、論理力を問う算数の問題は、ある条件について、つじつまの合う理解や説明ができるということなのです。

ある条件について、つじつまの合う理解や説明に到達するためには、何度もくり返して問題を解き、そのプロセスを体で覚える必要があります。
そうすることで、ある条件から求めるべき答えが、つじつまの合う形で導き出せるようになるのです。こう考えれば、反復は必要と言えます。

しかし、反復する時間にも限りがあるので、お子さんにとって「実力に合った」レベルの問題を選ぶことが必要なのです。
そして、その問題の仕組みが、つじつまの合う説明ができるまで、自分のものにしなければならないのです。
このような作業をいくつもの単元についてくり返していくうちに、次第に算数の力が身につくのです。

やたらと問題を反復するよりも、レベルの合った問題を適量(もちろん少なくてはいけませんが)選んで、その解答に至るプロセスをお子さんが自分の言葉で説明できるようにすることが重要です。

Q3、低学年のうちから勉強させた方がいいですか?
A3:「早く受験勉強をスタートすれば合格に有利だ」という考え方は基本的に正しいと思います。
勉強に早くて悪いということはありません。
しかし、レベルに合っていない問題をさせてはいけません。
中学受験には、成長の早い・遅いがあります。
成長の早くない子には、一部の塾のように低学年で難問を課す学習は逆効果です。
少し努力すれば理解できる問題を、丁寧に解かせ、反復させることです。
そうすれば、算数の力がつき、理科も伸びやすくなります。

3年間あれば中学受験の算数の力は十分つけられます。4年生からはじめて、遅すぎるということはありません。

習い事などで忙しい子は、4年生になってから受験勉強を始めるくらいで良いのです。
小学校3年生までにしておくことは、

① 四則計算を短時間で正確にできるようにする。
② 図形の名前と性質を覚えさせる。(平面図形だけで十分です)
③ 文章題から式を立てられるようにする。(簡単な問題だけで良いでしょう)

これで十分です。
4年生になってから、小数や分数など、あるいは約数・倍数などに入ればいいのです。
低学年のうちから、やたら難しい問題をさせて、算数が嫌いになってしまっては、本末転倒です。

Q4、志望校の傾向と対策は必要ですか?
A4:確かに多くの学校で「平面図形2題、立体図形1題、食塩水と速さがよく出る、途中式不要」というような出題傾向はあります。
それを知っておくことは、試験を受ける以上、必要なことです。
しかし、これは大雑把な傾向を知るということに過ぎません。

注意すべき点は、毎年同じような出題傾向であっても、その中身である図形や文章題は同じではないということです。
また、問題の難易度や自分との相性も、必ず毎年同じというわけではありません。
そこで、大切になるのが、それらの中身や変動に対応できる実力です。
そして、一般に中身に対応できる実力があれば、変動には対応できて、合格の可能性が高まるということです。
つまり、志望校対策は必要だが、それだけでは不十分だということです。
対策が活きるような算数の実力(計算の速さと正確さ・公式を覚え、その仕組みを理解していること・図を書いて推理する力・条件を整理する力・補助線を引いたり図形を移動させるコツ・・・)を身につけて、初めて確実に合格できるということです。

どこの入試にも共通する実力を養うことを忘れて、安易な志望校対策に走るのは極めて危険です。
つるかめ算に見える問題が過不足算であったとしても、きちんと図を書いて推理する力を身につけておけば、別に大騒ぎすることはないのです。
途中式を見ない学校を受験するというので、いいかげんに式を書いて、それで良いというわけではありません。
受験生の中には式など書かなくても、問題は正解できると言い張る子がいます。
しかし、式を書くことで確かめ算ができ、簡単に点数を伸ばすことができるはずです。
大相撲でいえば、やはり「自力」といわれる力をつけた力士が星を伸ばすのと同じです。

Q5、短期間(2週間くらい)で算数の力をつけることができますか?
A5:2週間でも「問題を解くコツ」くらいは学ぶことができます。
しかし、「算数の力」をつけることはできません。

「問題を解くコツ」は、教えようと思えば容易に教えられるものです。
しかし、それを頭に入れたところで、実際の試験にはあまり役に立たないものです。
実力をつけるためには、具体的な問題を解く作業をくり返して、そこから経験的に「問題を解く技術」を自分で身につけることが必要だからです。
問題を解くコツを知ることと、実際に一人で問題を解けることとは大きな違いがあるのです。

ピアノを弾く技術を身につける場合を考えてみてください。
ピアノの弾き方を教えてもらったところで、弾けるようになりません。
具体的な曲の練習の積み重ねを通して、弾き方を身につけていくしかないのと同じことです。

ただ、この算数の解き方の習得過程を合理化することはできます。
昔の徒弟制度のように「ひとりで学べ」というような不合理な方法では時間がかかります。
生徒が、「算数の問題はこのように解くものであり、こう図を書けば上手く条件を整理できるのだ」と実感できるように、無理なく導くことが大切です。
そうすることで、算数を解く方法を比較的短期間で体得させていくことができるからです。

中学受験の入試問題の多くは、安直なマニュアルの裏をかくようにつくられています。
学校側も、確かな実力をもった生徒を求めます。
短期間で結果を出そうとせず、受験当日に結果が出るように、本物の実力を身につけていってください。

Q6、応用問題はどう解けばいいのですか?
A6:ただやみくもに問題を解いていても応用問題は解けません。
応用問題には、大別して二つがあります。
一つは、基本的な問題を2つ組み合わせた問題。
もう一つは、独特の発想や仮定を必要とする問題です。
前者はいわば複合問題であり、後者はいわば発展問題です。
複合問題は冷静に整理していけばできるようになるので、問題は後者の発展問題の方です。

では、そのような発展問題を解く力をつけるには何をすればよいのでしょうか。

① 発展問題のパターンをできるだけ覚える。
② 仮説を立てて実行してみる。(図形の移動や、予想される数字の代入)
③ 規則性がないか調べてみる。

この三つを行いつつ、常に、答えへの糸口がないか調べることが大事です。
一番いいのは①のパターンを覚えるというものですが、すべてを覚えることは無理でしょうから、②と③も実行してみてください。

応用力は、お子さんの試行錯誤が必要です。
塾の授業だけではできるようになりません。

したがって、応用問題のできないお子さんには試行錯誤の作業をさせなくてはなりません。
ただし、一人では時間ばかりかかるので、着眼点やコツを伝える人が必要になるのです。
一人で応用問題を解くのは空回りのおそれがあるので、あまりにも難しい問題は避けるようにしてください。

Q7、試験慣れは必要ですか?
A7:試験慣れが必要でないとはいえません。
試験時間と試験内容から、問題をどのくらいのペースで解けばよいのかという感覚は必要だからです。

しかし、よく注意してみてください。
みんな同じように試験を受けているのに、言い換えれば、みんな同じように試験に慣れているはずなのに、試験の結果には大きな開きがあるのです。
これは、試験慣れというのは、実力をつけるということとは違う、ということです。
実力をつけた上で、あるいは、実力をつけるのと並行して、試験に馴れていくのであれば、試験の点数もよくなります。
しかし、実力をつけることを怠って、試験ばかりを受けていると結局点数は上がらないままです。
試験を受ける回数よりも、自宅での地道な勉強が何よりも必要なのです。

それよりも、試験が返ってきた後の復習はしっかりやってください。
復習を十分にしないのであれば、試験は無意味です。復習をしない試験を受けるくらいなら、レベルに合った問題集を家でやる方がよほど成績は上がります。

Q8、家庭教師で算数の力がつきますか?
A8:算数に関する限り、家庭教師の指導は集団指導よりも明らかに有効です。
お子さんによって、得意分野と苦手分野に大きな違いがあるからです。
不得意が違うお子さんが、塾で同じ問題を解くのは、合理的ではありません。
お子さんの必要に応じて問題を解説し、その場でやらせ、間違いの原因を明らかにし、解くプロセスを正確に理解させることが重要です。

小学生のお子さんは、一人では自分の思い込みからなかなか出られません。
したがって、大人が、お子さんの思い込みを訂正してあげることです。
お子さんが分からない箇所を、「とにかく考えなさい」と言って一人で学習させるのは無理があります。
先日、ある小6のお子さんの指導をしていたときのことです。
その子がある問題をつるかめ算だと思って解いていましたが、実は過不足算でした。
ところが、その子はひたすらつるかめ算の公式に当てはめて解こうとしていたのです。
これでは、一人で勉強しろというのはかわいそうです。

塾の先生は、生徒の半数くらいが理解すれば次に進んでしまいます。
集団塾では、お子さんがすべてを理解するところまでは先生は教えてくれません。
算数が苦手な子は、大人と二人で、レベルに合った勉強をすべきなのです。
集団塾で1年間算数を習っても伸びない場合、方法を変えてみることをおすすめします。

Q9、算数の勉強にテクニックは必要ですか?
A9:テクニックは必要です。
有効なものは、知らないよりも知っていた方が得に決まっています。

ただし、これは一定の実力を前提として始めて役に立つものです。
逆に、テクニックは一定の実力がついてくれば、自然と身についてくるものなのです。
分かりやすい例を挙げれば、プロ野球選手のイチローのテクニックは小手先だけのテクニックであるのか、実力であるのか、ということです。
後者であることに異論はありません。
イチロー選手は、基礎・基本を嫌になるほど反復して、オリジナルの技法に到達したのです。
たいして実力もないのに小手先のテクニックだけを求めていれば、いつまでも実力をつけられずに終わってしまいます。

計算にしても文章題や図形にしても、計算力と公式の記憶、さらに論理力と推理力に基づいた不動の実力があって、はじめて身につきます。
その上にテクニックが加われば、鬼に金棒です。
確かな実力がつくまでは、テクニックにこだわらず、これまで述べた訓練を行ってください。
そうすれば、知らず知らず、テクニックなどは身についているものです。
特殊な勉強法などないのです。

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