素質を伸ばす
世間で常識と言われていることはたくさんあります。中学受験でも同じです。その常識にしたがって成績が上がるのなら問題ありません。でも、現実は世間の常識をそのまま受け入れ、苦労している受験生が大半です。
その常識とは「頑張れば志望校に受かる。」・・・・・です。
塾からもらう「パンフレット」や「体験談」を見ると、合格した受験生の話が載っています。彼らの体験談を読んでいても、「うちの子とそんなに違わない」と思うことでしょう。
羨ましく思いながらも、他人事として片付け、何となく今までの状況を続ける人が多いようです。よく調べてみると合格した子は他の子とは別の「鉄則」を持っています。
そうです、皆さんが今まで常識と思っていた方法と違う方法を実行し、合格しているのです。そして、そのことは決して難しい、困難なことではないのです。
もちろん、塾に通っていて上手くいっている子はそのまま継続すべきでしょう。上手くいっているのに方法を変える必要はありません。
お恥ずかしい話ですが、私も「一生懸命頑張れば、上手くいく」と最近まで思っていました。勉強とは眠いのを我慢して歯を食いしばってやるものだ、そう信じて疑いませんでした。
でもそれはとても辛いことでした。
私自身も中学受験のために大手塾に通いました。小6の時は好きなサッカーもやめ、毎日遅くまで勉強していました。しかし、上手くいきませんでした。
受験を考える場合、避けてはいけないテーマがあります。誰もが思っていながら声に出せずにいる命題です。
これです。
スポーツで言えば、「私たちはどう頑張ってもイチローや石川遼にはなれない」ということです。こちらは誰でも平気で言います。かけっこでビリになった我が子には「しょうがないよ」と慰めても、こと勉強に関しては「やればできる」と言ってしまいます。
足の速い・遅いがあるように、歌の上手い下手があるように、背の高い低いがあるように、算数の得意・不得意という素質の差は厳然とあります。それをごまかしたり、認めなかったりすると成績を伸ばすことは難しいのです。
同じ時期に塾に通い、同じ先生に習い、同じテキストで勉強しているのに成績の差が出るというのは「勉強時間」や「やる気」の差というだけでは説明がつきません。実際、特に頑張っているわけではないのに成績がいい子はたくさんいます。その違いは何か?「素質」の差です!そういってしまっては身も蓋もない話なので、もう少し話しをすすめます。
成績が悪い子には2つのパターンがあります。
1.初めはよかったが、だんだん下がってきた。
2.初めから悪かった。
「1」の場合、頑張ってパターン練習を繰り返している。
「2」の場合、初めからそれほど頑張って勉強していない。
実は、この2つ、原因は同じなのです。
簡単にいえば、「モノを深く考える」ことが身についていないということです。
だから、「考える」とは「どうすることか」を身につけない限り、成績は上がりません。
これが高校受験や大学受験と違う中学受験独特の特徴でもあります。
大学受験は、特に私立大学なら暗記やパターン練習で合格できます。
中学受験では、そうはいかないのです。中学受験の「素質」とは、そういうことなのです。